日本のケベック研究
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35 廣松 勲 (法政大学) インタビュー (日本語): http://youtu.be/UBXA2ziubWA 長谷川秀樹 (横浜国立大学) インタビュー (日本語): http://youtu.be/VLY-MPKHHss 対談要旨 廣松:私はフランス語圏のカリブ海域の文学作品の分析を中心に研究していますが、最近ではケベックの移民文学、特にハイチ系の移民文学の研究も行い、大学で教えている授業では広くフランス語圏の文化を扱っています。 長谷川:私は学生時代からフランスの中の少数言語民族文化地域であるコルシカの研究をしてきましたが、その後コルシカだけでなくフランスの他の少数言語、少数文化、あるいはフランス以外のフランス語圏の少数民族や文化について比較をしたいと思いフランコフォニーについての研究を始め、その過程で特異な位置にあるケベックに興味を抱いたわけです。 廣松:まずコルシカに興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか。 長谷川:学生時代に旅行で2ヶ月かけてフランスを一周したのですが、コルシカ島がパリに代表されるフランス文化とはまったく違う独自の文化、アイデンティティを持っていることに引かれました。 廣松:私の場合は、現地に行ってカリブを知ったというよりも、90年代末ころにフランス語圏カリブ地域の文学の翻訳が出たので興味を持ったわけです。 長谷川:日本ではカリブ海の文学はよく紹介されていて、コルシカの作家が日本ではほとんど紹介されていないことと非常に対照的ですが、それはどうしてなのでしょうか。 廣松:日本ではカリブという言葉がすでになじんでいたことに加えて、カリブという南国の島々でノーベル文学賞を取るような作家が何人も出ているという「ギャップ」が日本人を引きつけたのではないでしょうか。その中でカリブでもハイチ出身の作家がケベックに多く移住していますが、それはケベック政府やカナダ政府がハイチの貧困に対して様々な政策を出してきたということが一つの理由ではなかったかと思います。 長谷川:私が興味を持つのは「くくり」の問題ですが、フランス語圏あるいはフランコフォニーといっただけで、かなりのズレがあるような気がします。私自身世界の様々な地域に行ってみて、フランス語は話せないが自分はフランコフォンだという意識を持っていたり、逆にフランス語を流暢に話せるのに自分はフランコフォンではないという人もいるので非常に複雑です。 廣松:最後に、地域研究としてまず始めに島を研究する場合と大陸を研究する場合との違いをどう感じられますか。 長谷川:私の場合は、コルシカを研究していくと、フランス共和主義の矛盾に突き当たります。この点は、特にケベックを通してみるとフランスの共和主義の特異性が分かるので、それを客観的に見ることの必要性を感じています。 -----------------------------------------------------------------------------------------------—————-

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