日本のケベック研究
23/52
23 伊達聖伸の主要業績(ケベック研究関連): 1. « La laïcité de reconnaissance s’enracine-t-elle au Japon ? », Diversité urbaine, 13-1, 2013, pp.65-84. 2. « La crise de l’ecole au Japon : problematiques structurelles et statut du religieux », Les Cahiers Fernand Dumont, n°2, 2012, pp.397-420. 3. 「宗教を伝達する学校――ケベックのライシテと道徳・倫理・文化・スピリチュアリティ――」 『宗教研究』85巻2号、2011年、243-268頁。 4. 「現代ケベックの倫理・宗教文化教育――小学校の教科書の分析を通して」『ケベック研究』3号、2011年、25-42頁。 5. 「ケベックにおける『倫理・宗教文化』教育とライシテ」『ケベック研究』2号、2010年、57-64頁。 6. 「2つのライシテ――スタジ委員会報告書とブシャール=テイラー委員会報告書を読む」『宗教法』 29号、2010年、117-142頁。 インタビュー要旨 1.まず簡単に自己紹介いただき、これまでやられてきたご研究の主要テーマは何かお話しください 伊達聖伸と申します。上智大学外国語学部でフランス語および宗教学を教えています。研究テーマは「政教分離」や「世俗主義」を意味する「ライシテ」です。19世紀フランスにおけるライシテの道徳について博士論文を執筆するために、2002年から2007年までフランスに滞在しました。フランスのライシテには、非常に共和主義的な面・ライシテ原理主義とさえ言える面もあります。ケベックのライシテは、民族的・文化的・宗教的多様性を調停するうえでより将来性があるように見受けられました。このような経緯でケベックの「倫理・宗教文化」教育のプログラムに関心を持つようになりました。 2.現在のご研究の具体的なテーマと結論についてご説明いただけますか。 倫理・宗教文化の研究を進めるうち、ケベックでは文化としてのカトリックの存在感が大きく、その一方で移民の増加にともない宗教文化が多様化しており、対話が重視されていることが見えてきました。このような状況では、社会で共有される記憶の再建が課題になります。こうした問題関心から、フェルナン・デュモンの『記憶の未来』とジェラール・ブシャールの『間文化主義』の翻訳に現在取り組んでいます。 3.今後のご研究の課題や抱負についてお聞かせください。 まずは現在取り組んでいる課題を仕上げることが先決と考えています。日本の研究者としてケベックのことを扱うには、固有の意味でのケベック研究を深めながらも、その成果を日本も含めて他の社会の課題との関係において、どのように位置づけていくかを考えていくことが大事だと思います。 --------------------------------------------------------------------------------------------------------
元のページ