日本のケベック研究
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17 岡見さえの主要業績: 書籍(共著): 「舞踊を通した日仏文化交流」、『フランス人の流儀』日仏経済交流会編、大修館、2012年201-204頁 「ケベックのパフォーミングアーツと日本」、『遠くて近いケベック―日ケ40年の対話とその未来』、日本ケベック学会日ケ交流40周年記念事業編集委員会編、御茶ノ水書房、2013年154-158頁 「ゴーチエのバレエにおける身体の表象」、『テオフィル・ゴーチエと19世紀芸術』、澤田肇、吉村和明、ミカエル・デプレ共編、上智大学出版、2014年、188-213頁 論文: « Continuités et discontinuités – L’élaboration de la poésie visuelle en Occident. C.300av J.C.-c.1960. »,ダブル・ディグリー制度の適用によるトゥールーズ・ミライユ大学および上智大学博士論文、2008年 「アンリ・ミショーにおける東洋のエクリチュールの影響―『ムーヴマン』読解の試み」、『上智大学フランス文学科仏語・仏文論集』第43号、上智大学フランス文学科、2008年、77-94頁 「クリスチャン・ドートルモンのロゴグラム」、『ソフィア』第231号、上智大学出版、2009年、275-289頁 「連続と非連続―西欧における視覚詩の展開(紀元前300年代から1960年代)」、『教養論集』第22号、成城大学法学会、2010年、105-120頁 「エドゥアール・ロックとラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス―ケベック・ダンスにおける振付の革新の例として」、『ケベック研究』第5号、日本ケベック学会、2013年、113-134頁 インタビュー要旨 1.まず簡単に自己紹介いただき、これまでやられてきたご研究の主要テーマは何かお話しください 岡見さえと申します。上智大学、立教大学、慶應義塾大学などでフランス語、フランス文学を教えております。視覚詩の研究で博士号を取得し、複数の表現形態を混合した芸術への関心からコンテンポラリーダンスに興味を持ちました。ケベックはコンテンポラリーダンス界に独創的な振付家を輩出し続けています。なかでも、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスというカンパニーを立ち上げたエドゥワール・ロックを取り上げ、約30年間にわたる振付スタイルの変遷を考察しました。 2.現在のご研究の具体的なテーマと結論についてご説明いただけますか。 ケベックのコンテンポラリーダンスに特徴的な、身体自身への鋭い批評性を研究しています。エドゥワール・ロック、マリー・シュイナール、ダニエル・レヴェイエらの作品は、裸体や、性的な主題にも臆せず大胆に切り込み、それぞれ独創的な方法で身体のあり方を再定義しています。それは身体の美的カノンを志向してきたダンス史への批評を含むと同時に、60年代以降のケベック社会の近代化に伴う身体のキリスト教道徳からの解放、世界各地からもたらされた多様な価値観の反映と考えられる点で興味深いものです。 3.今後のご研究の課題や抱負についてお聞かせください。 2013年に日本ケベック学会の研究助成をいただいてモントリオールに滞在した際、コンテンポラリーダンスを取り巻く環境に興味を持ちました。大学のダンサー・振付家育成課程や、個人が立ち上げたダンスセンターが有機的に連携し、創作支援に加え、研究、アーカイヴィングによってケベック・ダンスを歴史的・同時代的文脈に位置付ける努力を続けています。ケベックの実例を研究し、日本のコンテンポラリーダンスの普及に寄与したいと考えています。 ----------------------------------------------------------------------------------
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